問15 2020年1月実技(個人資産)
問15 問題文
Aさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
1) 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長女Cさんが相続した場合、二女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を3億円とした場合、二女Dさんの遺留分の金額は7,500万円となります」
2) 「契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長女Cさんとする一時払終身保険に加入することにより、二女Dさんに対する代償交付金を準備することができます」
3) 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地等の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
問15 解答・解説
遺留分・死亡保険金の非課税枠・小規模宅地の特例に関する問題です。
1)は、不適切。遺留分とは、相続人が最低限受け取れる財産で、被相続人の兄弟姉妹以外に認められるものです。その割合は、相続人が直系尊属のみ場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1。
相続人が配偶者と子2人である場合、法定相続分は配偶者2分の1、子4分の1ずつ(子の人数分で分割)です。
よって、遺留分算定の基礎となる財産の価額が3億円だと、子1人分の法定相続分は4分の1の7,500万円で、遺留分はそのさらに2分の1の3,750万円となります。
2)は、適切。生命保険の契約者と被保険者が同じで、保険金受取人が異なり、受取人が相続人となる場合、支払われる死亡保険金は、みなし相続財産として、相続税の課税対象となります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となります。
また、死亡保険金受取人を遺産を取得する者(後継者)、被保険者を被相続人とする生命保険契約を締結しておくと、死亡保険金は、民法上は亡くなった人の財産(遺産)ではなく、保険金受取人の固有の財産とされるため、民法上の相続財産に含まれず、遺産分割協議の対象となりません(遺留分の対象とならず、全て代償金の支払いに充てることができる)。
よって、相続税負担を抑えながら、遺留分の対象とならない代償交付金を準備することが可能です。
3)は、不適切。小規模宅地の特例は、特定事業用400uと特定居住用330uを併用する際は、それぞれ適用可能であるため、最大730uまで適用可能です。ただし、貸付事業用との併用は、特例を適用する敷地面積に応じて調整計算する必要があります。
本問の場合、賃貸マンションの敷地は貸付事業用ですので、小規模宅地の特例を適用する際には、特定居住用となる自宅との併用となり、調整計算が必要です。
よって正解は、2
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