問9 2023年5月実技(個人資産)
問9 問題文
Aさんの2022年分の所得税の確定申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 「Aさんは、所得税の確定申告をすることで、上場株式の譲渡損失の金額を前年に繰り戻し、前年分の所得に対する所得税額の還付を受けることができます」
2) 「Aさんは、総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません」
3) 「Aさんは、ふるさと納税に係る寄附金控除について、年末調整では適用を受けることができませんので、所得税の確定申告が必要となります」
問9 解答・解説
所得税の確定申告に関する問題です。
1)は、不適切。上場株式の譲渡損失は、同一年の株式の譲渡所得や申告分離課税を選択した配当所得と損益通算できますが、それでも損失が上回る場合は、確定申告することで翌年以降3年間その損失額を繰り越せます。
ただし、前年に繰り戻して納付済みの所得税の還付を受けることはできません。
2)は、不適切。通常サラリーマン等の給与所得者の場合、年末調整で納税手続きが完了するため、確定申告は不要ですが、給与を1ヶ所から受けていて、給与所得や退職所得を除いた各種所得の合計が20万円を超える場合は、確定申告する必要があります。ただし、一時所得は総所得金額を計算する際に、その2分の1が合算対象のため、確定申告の要否も2分の1が20万円を超えるかで判断します。
Aさんの一時所得は0円ですので、確定申告不要です。
3)は、適切。医療費控除や寄附金控除、雑損控除は年末調整されないため、給与等から源泉徴収された税額の還付を受けるには、給与所得者でも確定申告が必要です。ただし、ふるさと納税ワンストップ特例制度により、所定の条件を満たせば、確定申告無しで寄附金控除が適用されます(寄附先の自治体への特例申請書の送付は必要)。
ただし、特例適用には、ふるさと納税で寄附する自治体数は、5自治体までが上限となっていますので、6自治体以上に寄附する場合は確定申告が必要です(寄附金額には上限無しで特例適用可能)。
本問の場合、Aさんは10自治体に寄附しているため、確定申告が必要です。
よって正解は、3
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