問8 2021年1月実技(保険顧客)
問8 問題文
Mさんは、《設例》の終身保険について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1) 「Aさんの退任時に、役員退職金の一部または全部として当該終身保険の契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの相続人に名義変更することで、当該終身保険をAさんの個人の保険として継続することが可能です」
2) 「X社が保険期間中に資金が必要となった場合に、契約者貸付制度を利用することにより、当該保険契約を解約することなく、資金を調達することができます」
3) 「保険料払込期間満了時に当該終身保険を解約し、解約返戻金3,500万円を受け取った場合、X社はそれまで資産計上していた保険料積立金を取り崩し、解約返戻金額との差額を雑損失として経理処理します」
問8 解答・解説
法人の生命保険の経理処理・活用方法に関する問題です。
1)は、適切。法人が役員や従業員にかけた生命保険は、受取人を役員・従業員本人やその遺族に名義変更し、退職金の一部として現物支給可能です。
この場合、支給時点での解約返戻金相当額が退職収入とみなされ、他の退職手当等と合算して、退職所得額が計算されます。
2)は、適切。法人に急な資金需要が発生した場合には、契約者貸付制度により解約返戻金の最大90%まで融資を受けることが可能です。
3)は、不適切。終身保険を解約した場合、それまで資産計上していた保険料積立金を取り崩し、受け取った解約返戻金と、資産計上している保険料積立金等との差額を、雑収入(または雑損失)として計上します。
死亡保険金受取人=法人とする終身保険では、最終的に必ず法人が保険金を受け取ることができることから、支払保険料の全額を保険料積立金として資産計上しますので、保険料払込満了時までに資産計上された保険料積立金は、払込保険料累計額3,400万円と同額です。
よって、解約返戻金3,500万円との差額100万円を雑収入として計上し、益金算入します。
よって正解は、3
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